2020年01月30日
米軍現用の身分証の種類について《軍籍、政府職員》
●米軍の現用身分証の種類について●
2024/5/18 情報追加、修正
《謎めいた英国籍の民間人※旧型CAC》
米軍で採用されている身分証兼アクセスカードの記載項目について、どういった内容かどんなバリエーションがあるか、これらを考証するとその持ち主がどういった人物か類推することが出来る。レプリカを製作する際にはキャラ設定の演出にもなるでしょう。
特にみなさんが興味をお持ちの“いろいろな所属”の民間人を再現する上では重要なポイントとなります。
オフィシャルの項目の解説の画像ですが、各項目に『Zone 00』とキャプションがついており、以降解説に『資料00』と付記しますので配置についてはこちらを参照してください。
●種類について●
CAC DD2およびDD2-A(新型)には大きく分けて、『ホワイト』『グリーン』『ブルー』があります。
★ホワイト(軍籍、その他一般)
軍籍は陸軍、海軍、空軍、海兵隊と沿岸警備隊に発行されるミリタリーバージョン。職業軍人、予備役、州兵があり、基本的に同じ記載で細部が異なります。
(資料、20、8、10、11、下部12)
★グリーン(契約者、民間)
契約者・コントラクターを示す緑のインジケーターで表される。所属を表すサービスシールは国防総省DoDや各軍のエンブレムが確認されており、政府機関、軍の下請け(契約者コントラクター・PMC、施設スタッフ)等に支給され、軍籍とは仕様や記載項目自体が異なり、支給クラス(分類カテゴリー)に応じて記載事項やICパッドの有無の違いがあります。資料7
★ブルー(国外同盟・協力者)
国外協力者は同盟国兵士や現地の民間人協力者(情報提供、通訳、施設協力等)に便宜的に発行され、ゲート査証用に機能を制限したICパッドの無いチップレス仕様のカードなども発行されているようです。
●区分表示●
これらの種類はひと目でわかるようにカラーインジケーターと呼ばれる枠で色分けされます。資料15と18
また2009年から採用された新型DD2-Aは、2015年7月を境にマイナーチェンジが行われ、前期型と後期型が存在し、わずかながら細部の表示が変わっています。
《同一人物名義の実物画像による比較》
左:2009年式 右:2015年式
インジケーターを色覚障害がある人でもわかるように丸囲みの頭文字(資料18)が追記されるようになりました。以下の通り。
(W) 白、軍属、Military Affiliate、Uniformed Service、Civilian Affiliate
(G) 緑、契約者、下請け、Contractor、Civilian Affiliate
(B) 青、国外協力、他国軍籍、Foreign Armed forces、Civilian Affiliate
●仕様について●
DD/CAC には区別やレベルに応じて仕様に違いがある。それはカード表側の一番下の表示で見分けられる。
・Geneva Conventions Identification Card
米軍の軍籍、身分証とICチップによる汎用アクセスカード機能がある
・Geneva Conventions Identification Card for Civilians Accompanying the Armed Forces
主に民間人で軍事供与関係にある政府職員などを示唆する
・Identification and Privilege Card
身分証明と福利厚生の権限保有を証明するカード
・Identification Card
身分照会のみのシンプル版
ここで民間人(Civilian Affiliate)についてですが、民間仕様はそのアクセス権限のレベルに応じてカード自体の仕様が幾つかあり、米軍のコントラクター等もこれに含まれます。
コントラクター(契約者)は国防総省DoDまたは米4軍の配下で、対象はPMCの警備スタッフや施設職員、支援(特派員、即応)、シビリアン等と思われます。
CIAは民間仕様の政府機関バージョンに相当すると思われ、さすがに実物の資料画像は流出していません。そのため当方レプリカでは政府機関版の記載を踏襲しています。
政府機関バージョンにも幾つかレベルがあり、純粋に民間職員(公務員)、軍事要員(外交職員)、シビリアン(スタッフパス、出入りのみの権限なし)があり、前述のカード下部の表示(資料12)でどの仕様か判別できます。
★追加資料★
NASAの施設での適応訓練のブリーフィングにて、実際に職員が提げているのがDD2-Aの民間バージョン(おそらくNASAのもの)と思われる。
色々な資料を探しているが、このように身につけている実際の映像を見るのは珍しい。
ストラップで首にかけたり、IDホルダーでポケットやベルトに吊るしたり各自好みに応じて身につけている。
これらの画像でも見受けられる政府機関や軍でも施設で採用されている『IDホルダー』の実物も取り扱っていますのでお問い合わせください。
→掲載先『レプリカIDカード取扱い一覧 IDホルダー実物官給品』
●備考欄(権利 / Patronage)●
備考欄の記載(資料17)ですが、ここはメモのような扱いで、追加項目が記載されます。
軍籍バージョンには何も記載されませんが、民間で軍事要員の場合には、米軍と帯動する上で必要な権利や権限(Patronage パトロネージ)が記載されます。
渡航権限、売店などでの軍人特約や制限、福利厚生の利用など、海外派遣にまつわる職務に関係ないマニアックな記載内容が見受けられます。
おそらく前線基地内での行動に特化しているのでしょう。
(ブルーのForeign版ではOverseas 渡航条件の記載がない)
軍属の家族にも同類の身分証が発行され、関係者として同じ権利が記載されている。
●階級・等級●
また政府職員にはペイスケール(給与等級)という軍の階級(Enlisted または Officer)のような等級区分があり、General Schedule『GS-xx』というコードで表され、GS-01からGS-15までの15段階に加え、それぞれに10ステップが存在するとのこと。
軍事要員や政府職員のIDにはこのGSが記載されます。資料4
ペイスケールは公務員の給与等級ながら、軍の階級ペイグレードとの相対表があり、軍事作戦の指揮系統に関わる際、どのポジションに位置するか上下関係をはっきりさせることが出来るためと考えられます。
●アクセス用ICパッド●
《実物資料 ICパッドバリエーション》
左上から タイプ1初期~旧型、タイプ2新旧、タイプ3新型
左下から マイナー新型、マイナー新型、マイナー新旧
※こちらの『タイプ1』などは当方が便宜上そう呼び分けてけいるだけで正式な呼称ではない。
主に多く見受けられるのはタイプ1とタイプ3で、タイプ3は新型で多く見られるメジャー最新型、タイプ1は廃止された前のモデルDD2/CACでよく見られたもの。
各種類とも製作する地域か機械の違いによると思われ、見当たる限りでもいろいろなものが入り交じっている。
各種実物の資料画像は当ブログの『米英軍の軍籍身分証について』の記事に掲載しております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★米英軍の身分証明IDカードの実物について★
http://kamyu408.militaryblog.jp/e911069.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レプリカIDカード取扱い一覧
https://kamyu408.militaryblog.jp/e969403.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
興味を持たれた仕様の内容はお確かめください。
レプリカで当方が提供するオプションでは、吟味して制定してあるため、それを見ても違和感や異変を感じないようバランスをとって演出しています。
過去のオーダーでは要望を追加するほど実物とかけ離れる場合が多く、手探りとはいえ特化して勉強させてもらっている手前、依頼される場合には《想定される人物像の来歴や設定》をお伝えいただいてご相談の上お任せいただく方が確度が高いと思います。
狭い業界なので、レプリカを見ても何がどう実物と違うかをわかる人はそう多くはありません。
現職の軍人でも気にしてないほどです。(といっても実際のゲートチェックは抜けられませんが)
字数や余白など配置に無理がなければ、ある程度フィクションでいいと考えます。
どうぞ肩の力を抜いて楽しんでいただければと。
2020/1/29
2024/5/18 情報追加、修正
《謎めいた英国籍の民間人※旧型CAC》
米軍で採用されている身分証兼アクセスカードの記載項目について、どういった内容かどんなバリエーションがあるか、これらを考証するとその持ち主がどういった人物か類推することが出来る。レプリカを製作する際にはキャラ設定の演出にもなるでしょう。
特にみなさんが興味をお持ちの“いろいろな所属”の民間人を再現する上では重要なポイントとなります。
オフィシャルの項目の解説の画像ですが、各項目に『Zone 00』とキャプションがついており、以降解説に『資料00』と付記しますので配置についてはこちらを参照してください。
●種類について●
CAC DD2およびDD2-A(新型)には大きく分けて、『ホワイト』『グリーン』『ブルー』があります。
★ホワイト(軍籍、その他一般)
軍籍は陸軍、海軍、空軍、海兵隊と沿岸警備隊に発行されるミリタリーバージョン。職業軍人、予備役、州兵があり、基本的に同じ記載で細部が異なります。
(資料、20、8、10、11、下部12)
★グリーン(契約者、民間)
契約者・コントラクターを示す緑のインジケーターで表される。所属を表すサービスシールは国防総省DoDや各軍のエンブレムが確認されており、政府機関、軍の下請け(契約者コントラクター・PMC、施設スタッフ)等に支給され、軍籍とは仕様や記載項目自体が異なり、支給クラス(分類カテゴリー)に応じて記載事項やICパッドの有無の違いがあります。資料7
★ブルー(国外同盟・協力者)
国外協力者は同盟国兵士や現地の民間人協力者(情報提供、通訳、施設協力等)に便宜的に発行され、ゲート査証用に機能を制限したICパッドの無いチップレス仕様のカードなども発行されているようです。
●区分表示●
これらの種類はひと目でわかるようにカラーインジケーターと呼ばれる枠で色分けされます。資料15と18
また2009年から採用された新型DD2-Aは、2015年7月を境にマイナーチェンジが行われ、前期型と後期型が存在し、わずかながら細部の表示が変わっています。
《同一人物名義の実物画像による比較》
左:2009年式 右:2015年式
インジケーターを色覚障害がある人でもわかるように丸囲みの頭文字(資料18)が追記されるようになりました。以下の通り。
(W) 白、軍属、Military Affiliate、Uniformed Service、Civilian Affiliate
(G) 緑、契約者、下請け、Contractor、Civilian Affiliate
(B) 青、国外協力、他国軍籍、Foreign Armed forces、Civilian Affiliate
●仕様について●
DD/CAC には区別やレベルに応じて仕様に違いがある。それはカード表側の一番下の表示で見分けられる。
・Geneva Conventions Identification Card
米軍の軍籍、身分証とICチップによる汎用アクセスカード機能がある
・Geneva Conventions Identification Card for Civilians Accompanying the Armed Forces
主に民間人で軍事供与関係にある政府職員などを示唆する
・Identification and Privilege Card
身分証明と福利厚生の権限保有を証明するカード
・Identification Card
身分照会のみのシンプル版
ここで民間人(Civilian Affiliate)についてですが、民間仕様はそのアクセス権限のレベルに応じてカード自体の仕様が幾つかあり、米軍のコントラクター等もこれに含まれます。
コントラクター(契約者)は国防総省DoDまたは米4軍の配下で、対象はPMCの警備スタッフや施設職員、支援(特派員、即応)、シビリアン等と思われます。
CIAは民間仕様の政府機関バージョンに相当すると思われ、さすがに実物の資料画像は流出していません。そのため当方レプリカでは政府機関版の記載を踏襲しています。
政府機関バージョンにも幾つかレベルがあり、純粋に民間職員(公務員)、軍事要員(外交職員)、シビリアン(スタッフパス、出入りのみの権限なし)があり、前述のカード下部の表示(資料12)でどの仕様か判別できます。
★追加資料★
NASAの施設での適応訓練のブリーフィングにて、実際に職員が提げているのがDD2-Aの民間バージョン(おそらくNASAのもの)と思われる。
色々な資料を探しているが、このように身につけている実際の映像を見るのは珍しい。
ストラップで首にかけたり、IDホルダーでポケットやベルトに吊るしたり各自好みに応じて身につけている。
これらの画像でも見受けられる政府機関や軍でも施設で採用されている『IDホルダー』の実物も取り扱っていますのでお問い合わせください。
→掲載先『レプリカIDカード取扱い一覧 IDホルダー実物官給品』
●備考欄(権利 / Patronage)●
備考欄の記載(資料17)ですが、ここはメモのような扱いで、追加項目が記載されます。
軍籍バージョンには何も記載されませんが、民間で軍事要員の場合には、米軍と帯動する上で必要な権利や権限(Patronage パトロネージ)が記載されます。
渡航権限、売店などでの軍人特約や制限、福利厚生の利用など、海外派遣にまつわる職務に関係ないマニアックな記載内容が見受けられます。
おそらく前線基地内での行動に特化しているのでしょう。
(ブルーのForeign版ではOverseas 渡航条件の記載がない)
軍属の家族にも同類の身分証が発行され、関係者として同じ権利が記載されている。
●階級・等級●
また政府職員にはペイスケール(給与等級)という軍の階級(Enlisted または Officer)のような等級区分があり、General Schedule『GS-xx』というコードで表され、GS-01からGS-15までの15段階に加え、それぞれに10ステップが存在するとのこと。
軍事要員や政府職員のIDにはこのGSが記載されます。資料4
ペイスケールは公務員の給与等級ながら、軍の階級ペイグレードとの相対表があり、軍事作戦の指揮系統に関わる際、どのポジションに位置するか上下関係をはっきりさせることが出来るためと考えられます。
●アクセス用ICパッド●
《実物資料 ICパッドバリエーション》
左上から タイプ1初期~旧型、タイプ2新旧、タイプ3新型
左下から マイナー新型、マイナー新型、マイナー新旧
※こちらの『タイプ1』などは当方が便宜上そう呼び分けてけいるだけで正式な呼称ではない。
主に多く見受けられるのはタイプ1とタイプ3で、タイプ3は新型で多く見られるメジャー最新型、タイプ1は廃止された前のモデルDD2/CACでよく見られたもの。
各種類とも製作する地域か機械の違いによると思われ、見当たる限りでもいろいろなものが入り交じっている。
各種実物の資料画像は当ブログの『米英軍の軍籍身分証について』の記事に掲載しております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★米英軍の身分証明IDカードの実物について★
http://kamyu408.militaryblog.jp/e911069.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レプリカIDカード取扱い一覧
https://kamyu408.militaryblog.jp/e969403.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
興味を持たれた仕様の内容はお確かめください。
レプリカで当方が提供するオプションでは、吟味して制定してあるため、それを見ても違和感や異変を感じないようバランスをとって演出しています。
過去のオーダーでは要望を追加するほど実物とかけ離れる場合が多く、手探りとはいえ特化して勉強させてもらっている手前、依頼される場合には《想定される人物像の来歴や設定》をお伝えいただいてご相談の上お任せいただく方が確度が高いと思います。
狭い業界なので、レプリカを見ても何がどう実物と違うかをわかる人はそう多くはありません。
現職の軍人でも気にしてないほどです。(といっても実際のゲートチェックは抜けられませんが)
字数や余白など配置に無理がなければ、ある程度フィクションでいいと考えます。
どうぞ肩の力を抜いて楽しんでいただければと。
2020/1/29
Posted by kamyu [k-25]
at 18:45
│IDレプリカ