2019年01月26日
ナイトカモパーカー・ゴージャスカスタム
ナイトカモパーカー★ゴージャス防寒仕様版
初回製作 2015/12
ナイトカモ・パーカー(ナイト・デザート・カモフラージュ)は1991年の湾岸戦争の前にナイトビジョンゴーグル(暗視カメラ)対策用の迷彩柄の防寒パーカーとして採用された特徴的な格子模様の緑色がレトロな味わいがある個性的なアイテム。
近年は特殊部隊がアフガンで使用したり、ミリブロの先輩がカスタムを披露したりと再燃ブームがあった。
基本的な形はM51パーカーと同じスモック形状で、BDUの上に重ね着するオーバーレイヤーサイズ(キルティング生地のライナーも付ける)なので、サイズ表記の1.5倍くらいはある全体に大きいシルエットのため、トレンチコートの感覚で着ると、ライナー(防寒内張り)を付けても、袖や脇をすきま風が通り防寒具としてはうすら寒い。
多くのひとがナイトカモを買っても断念するのは、暖かい時期には生地が暑く、冬には防寒能力がない上に、USスモールサイズでもUSラージくらいの幅があるため、人気があり多く買われるにもかかわらず、すぐに手放したり、着ているひとが少ない所以かもしれない。
ビジュアルだけで気に入って、これから買うという人はその点を理解した方がよい。
袖口にゴムの入ったスモック形状(割烹着)の袖もダボダボで、普段着としての使い勝手はよくない。
それらの点を改良するため、裾丈を切り詰めたショートカスタムと同時に以下の改良を加えた “モダンカスタム” を製作。
・前面のオーバースルーポケットの裏打ちで実用ポケット化
・前見頃にファスナーを追加
・袖をスリム化して、袖口をフラップで調節
・肩にベルクロ付ポケットを新造
・ライナー用のボタンを付け直してM65ライナーが着脱できる仕様に
詳細は下記リンク記事にて
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナイトカモパーカー モダンショートカスタム
https://kamyu408.militaryblog.jp/e852489.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてこのモダンカスタムにさらにM65のライナーとフードファーを追加して、N2bに似たデッキパーカーのようなゴージャス仕様を試作してみた。
●フードの内ボア追加●
きっかけは生地屋でオリーブグリーンのボア生地を見つけたことだった。
以前に軍用パーカーのライナーのキルティング生地の切れ端が売られているのを見つけたことがあり、それと同じく実物ミリタリーとそっくりのボア生地の切れ端が切り布のワゴンにわずかに並んでいた。
60cmほどのゴワッとしたボアのアクリル生地で、80年代のイギリス軍の防寒帽の裏地に似ている。
まずはそれをフードの裏打ちにする。
フードの形状に合わせて造形。
最初の草案では裏打ちもボタンやマジックテープで脱着式にしようと思ったが、ボア生地がアクリルのニットなので強度が不安視され、フード全体があまりにもゴチャつくし厚みができてしまうので却下して縫い付けることにした。
製作当時、ファーとボアを安全ピンで仮止めしただけの状態で着て出掛けるなど、結構長い期間トライアルしていたのが懐かしい。たぶんひと冬は越したはず。
ボア生地の端は秋冬物らしく肌触りの柔らかなスエード調の色味のきれいなパイピングで補強。
ファーを着脱式にするので、YKKのパイルファスナーも付けた。
フードの折り返しとファスナー、ボア生地、パイピングとひと所に重ねると結構な厚みで位置合わせや立体的構造など、クローズドポジションをコンパクトミシンでで縫うのが手間だった。
(そうである。これらのカスタムはすべてこのおもちゃのような小型家庭用ミシンで工作しているのだ!?)
●フードに追加するファー襟の作成●
フェイクファーを扱うのはこれが初めてだった。
だが、この着脱式ファーのネタは民製品ファッションの上着に付属していた着脱式のファー襟をナイトカモのフードに取り付けてどういう風になるか試したのが原点だ。
同じ規格のYKKパイル・ブレイクファスナーを仮止めし、ファーを付けてワンシーズン過ごした。
およそ問題もなく、見映えも使用感もよかったので、アクリルファーのテープを買ってきて実際に製作し始める。
上から三つ目が民製品のファー襟。これを模してファー襟を作成するが、このサイズではナイトカモには短いのでフードの長さに合わせて再現する。
アクリルファーは同じ製品で色柄の異なる商品が何種類かあるが、同じものでも色の違いで生地の張りや固さが異なるので、フォックス柄のファーは固く仕上がってしまったので、自分用にする。
画像のゴールドファーはふわふわ柔らかいが、染めが入ったフォックス風の方は少し張りがあって毛がツルツルしている。
どちらも参考にしたファーより生地が肉厚だ。
ファスナーと台地を裏から縫って折り返して閉じる。
台地は節約して拵えた余り生地を繋ぎ合わせて調達した。
中に綿は入れていないが程よく膨らんでモコモコした感触に。
中綿を入れるともっと膨らむかもしれないが、ごわごわになってフードや襟元が不便になる可能性もある。
●スルーポケットの改良●
ナイトカモパーカーのポケットは、BDUのポケットにアクセスできるよう内袋の無いスルーポケットになっている。
ここからも隙間風が入るのでポケットの裏貼りをしてポケット化する定番加工だが、そこにひと手間加える。
ポケットの内側にファー生地を貼り、肌触りを良くし、ポケット内を暖かくする。
通常のブラウンボアと、薄い水色のプレミアムボア・ラビットファーの生地を使ったが、プレミアムの方はツルツルの触感が心地よいが、ひんやりしているので真冬だと最初は少し冷たいかもしれない。
どちらも毛布にくるまれたような感触である。真冬にホットの缶飲料やミニペットボトルを入れるとホカホカで保温性も高い。
厚みが増えたぶん、シルエットが少し膨らんで見える。
●襟のタブ●
襟は立てて閉じれるようにタブを追加したが、カスタムでは使わずに余っっていたフードの紐をループタブにして付けたので、手袋をしてても開け締めがやりやすい。
(これまで十数着のナイトカモを見てきたが、この襟のサイズや形、縫製の仕方はどれも異なる)
襟を閉じるとフードが襟巻きのようになる今時仕様。
アクリルファーなのでそのまま洗濯も可能だと思うが、着脱式だと干すのも楽だしファーをいくつか作って付け替えもできる。
ヒョウ柄やホルスタインも売ってたので、面白いかもしれない。
この仕様はわずか2着しか作れなかった。
退色した古着を使った試作は自分で使っているが、もうひとつのデッド品で作ったものは大切なひとへの敬意の証に。
2019/1/26
初回製作 2015/12
ナイトカモ・パーカー(ナイト・デザート・カモフラージュ)は1991年の湾岸戦争の前にナイトビジョンゴーグル(暗視カメラ)対策用の迷彩柄の防寒パーカーとして採用された特徴的な格子模様の緑色がレトロな味わいがある個性的なアイテム。
近年は特殊部隊がアフガンで使用したり、ミリブロの先輩がカスタムを披露したりと再燃ブームがあった。
基本的な形はM51パーカーと同じスモック形状で、BDUの上に重ね着するオーバーレイヤーサイズ(キルティング生地のライナーも付ける)なので、サイズ表記の1.5倍くらいはある全体に大きいシルエットのため、トレンチコートの感覚で着ると、ライナー(防寒内張り)を付けても、袖や脇をすきま風が通り防寒具としてはうすら寒い。
多くのひとがナイトカモを買っても断念するのは、暖かい時期には生地が暑く、冬には防寒能力がない上に、USスモールサイズでもUSラージくらいの幅があるため、人気があり多く買われるにもかかわらず、すぐに手放したり、着ているひとが少ない所以かもしれない。
ビジュアルだけで気に入って、これから買うという人はその点を理解した方がよい。
袖口にゴムの入ったスモック形状(割烹着)の袖もダボダボで、普段着としての使い勝手はよくない。
それらの点を改良するため、裾丈を切り詰めたショートカスタムと同時に以下の改良を加えた “モダンカスタム” を製作。
・前面のオーバースルーポケットの裏打ちで実用ポケット化
・前見頃にファスナーを追加
・袖をスリム化して、袖口をフラップで調節
・肩にベルクロ付ポケットを新造
・ライナー用のボタンを付け直してM65ライナーが着脱できる仕様に
詳細は下記リンク記事にて
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ナイトカモパーカー モダンショートカスタム
https://kamyu408.militaryblog.jp/e852489.html
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そしてこのモダンカスタムにさらにM65のライナーとフードファーを追加して、N2bに似たデッキパーカーのようなゴージャス仕様を試作してみた。
●フードの内ボア追加●
きっかけは生地屋でオリーブグリーンのボア生地を見つけたことだった。
以前に軍用パーカーのライナーのキルティング生地の切れ端が売られているのを見つけたことがあり、それと同じく実物ミリタリーとそっくりのボア生地の切れ端が切り布のワゴンにわずかに並んでいた。
60cmほどのゴワッとしたボアのアクリル生地で、80年代のイギリス軍の防寒帽の裏地に似ている。
まずはそれをフードの裏打ちにする。
フードの形状に合わせて造形。
最初の草案では裏打ちもボタンやマジックテープで脱着式にしようと思ったが、ボア生地がアクリルのニットなので強度が不安視され、フード全体があまりにもゴチャつくし厚みができてしまうので却下して縫い付けることにした。
製作当時、ファーとボアを安全ピンで仮止めしただけの状態で着て出掛けるなど、結構長い期間トライアルしていたのが懐かしい。たぶんひと冬は越したはず。
ボア生地の端は秋冬物らしく肌触りの柔らかなスエード調の色味のきれいなパイピングで補強。
ファーを着脱式にするので、YKKのパイルファスナーも付けた。
フードの折り返しとファスナー、ボア生地、パイピングとひと所に重ねると結構な厚みで位置合わせや立体的構造など、クローズドポジションをコンパクトミシンでで縫うのが手間だった。
(そうである。これらのカスタムはすべてこのおもちゃのような小型家庭用ミシンで工作しているのだ!?)
●フードに追加するファー襟の作成●
フェイクファーを扱うのはこれが初めてだった。
だが、この着脱式ファーのネタは民製品ファッションの上着に付属していた着脱式のファー襟をナイトカモのフードに取り付けてどういう風になるか試したのが原点だ。
同じ規格のYKKパイル・ブレイクファスナーを仮止めし、ファーを付けてワンシーズン過ごした。
およそ問題もなく、見映えも使用感もよかったので、アクリルファーのテープを買ってきて実際に製作し始める。
上から三つ目が民製品のファー襟。これを模してファー襟を作成するが、このサイズではナイトカモには短いのでフードの長さに合わせて再現する。
アクリルファーは同じ製品で色柄の異なる商品が何種類かあるが、同じものでも色の違いで生地の張りや固さが異なるので、フォックス柄のファーは固く仕上がってしまったので、自分用にする。
画像のゴールドファーはふわふわ柔らかいが、染めが入ったフォックス風の方は少し張りがあって毛がツルツルしている。
どちらも参考にしたファーより生地が肉厚だ。
ファスナーと台地を裏から縫って折り返して閉じる。
台地は節約して拵えた余り生地を繋ぎ合わせて調達した。
中に綿は入れていないが程よく膨らんでモコモコした感触に。
中綿を入れるともっと膨らむかもしれないが、ごわごわになってフードや襟元が不便になる可能性もある。
●スルーポケットの改良●
ナイトカモパーカーのポケットは、BDUのポケットにアクセスできるよう内袋の無いスルーポケットになっている。
ここからも隙間風が入るのでポケットの裏貼りをしてポケット化する定番加工だが、そこにひと手間加える。
ポケットの内側にファー生地を貼り、肌触りを良くし、ポケット内を暖かくする。
通常のブラウンボアと、薄い水色のプレミアムボア・ラビットファーの生地を使ったが、プレミアムの方はツルツルの触感が心地よいが、ひんやりしているので真冬だと最初は少し冷たいかもしれない。
どちらも毛布にくるまれたような感触である。真冬にホットの缶飲料やミニペットボトルを入れるとホカホカで保温性も高い。
厚みが増えたぶん、シルエットが少し膨らんで見える。
●襟のタブ●
襟は立てて閉じれるようにタブを追加したが、カスタムでは使わずに余っっていたフードの紐をループタブにして付けたので、手袋をしてても開け締めがやりやすい。
(これまで十数着のナイトカモを見てきたが、この襟のサイズや形、縫製の仕方はどれも異なる)
襟を閉じるとフードが襟巻きのようになる今時仕様。
アクリルファーなのでそのまま洗濯も可能だと思うが、着脱式だと干すのも楽だしファーをいくつか作って付け替えもできる。
ヒョウ柄やホルスタインも売ってたので、面白いかもしれない。
この仕様はわずか2着しか作れなかった。
退色した古着を使った試作は自分で使っているが、もうひとつのデッド品で作ったものは大切なひとへの敬意の証に。
2019/1/26